業界トピックス2020.09.30
弁護士と司法書士の違い

弁護士と司法書士にはどのような違いがあるか説明できますか。

過払金返還請求等の広告などは弁護士も司法書士もしているイメージをお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、弁護士と司法書士の違いについて詳しく解説します。

弁護士と司法書士は大きく異なる

弁護士と司法書士の大きな違いは扱える法律事務の範囲です。

弁護士とは、法律事務全般を取扱うことができる法律の専門家です。

司法書士とは、法律に関する書類の作成や手続きの代行等を主な事務とする法律の専門家です。

司法書士は、法律行為の代理は原則として取扱うことができず、認定司法書士のみが限定された範囲で代理することができるにとどまります。

弁護士と司法書士に共通するのは、法律に関する作成や手続きの代行等を事務とすることができる法律の専門家であることです。

以下では関連して質問が多い、

  • 司法書士と認定司法書士
  • 法律事務所と法務事務所

の違いを解説します。

司法書士と認定司法書士の違い

司法書士は、法務省が実施する司法書士試験に合格した者と、さらに法務省で一定の研修・考査を受け、法務大臣の認定を受けた者に分けることができます。後者を認定司法書士といいます。

まず、司法書士は、以下の事務を行うことが出来ます(司法書士法3条第1項第1~5号)。

  1. 登記又は供託に関する手続について代理すること。
  2. 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成すること。
  3. 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
  4. 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
  5. 前各号の事務について相談に応ずること。

次に、認定司法書士(法務大臣の認定を受けた司法書士)は、上記事務に加えて、以下の事務を行うことができます(司法書士法第3条第1項第6~8号)。

  • 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
    • 民事訴訟法の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が140万円を超えないもの
    • 民事訴訟法第275条の規定による和解の手続又は同法第7編の規定による支払督促の手続であって、請求の目的の価額が140万円を超えないもの
    • 民事訴訟法第2編第4章第7節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法の規定による手続であって、本案の訴訟の目的の価額が140万円を超えないもの
    • 民事調停法の規定による手続であって、調停を求める事項の価額が140万円を超えないもの
    • 民事執行法第2章第2節第4款第2目の規定による少額訴訟債権執行の手続であって、請求の価額が140万円を超えないもの
  • 民事に関する紛争であって紛争の目的の価額が140万円を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
  • 筆界特定の手続であって対象土地の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の2分の1に相当する額に筆界特定によって通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が140万円を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。

認定司法書士になるためには、「特別研修」と呼ばれる研修を修了し、かつ法務大臣が実施する「簡易訴訟代理等能力認定考査」に合格する必要があります。

法律事務所と法務事務所の違い

法律事務所と法務事務所の違いは「弁護士の有無」です。

司法書士事務所の中には、司法書士○○法務事務所のような表記がされているものがあります。

法務事務所は法律事務所と一文字違いなこともあり、世間一般的には区別が付きづらい印象を受けます。

法律事務所は、弁護士事務所の名称です(弁護士法20条1項)。

弁護士または弁護士法人でないと法律事務所の標示・記載はできません(同法74条1項)。

つまり、法務事務所は弁護士の所属する事務所ではありません。

法務事務所は、弁護士以外の士業(司法書士や行政書士等)事務所が使用する名称です。

日本司法書士連合会「司法書士事務所の名称について」によると法律事務所との誤認を回避するため、「法律」との文言が含まれているものは不可としています。また、「法務」を含む名称には必ず「司法書士」との文言を明記するものとされています。

▶弁護士事務所・法律事務所・弁護士法人の違い

分野別 弁護士と司法書士の役割

続いて、弁護士と司法書士の具体的な役割の違いを解説します。

代表的な一般民事事件において、弁護士と司法書士の仕事内容が大きく異なる点を以下の表にまとめました。

分野 内容 弁護士 司法書士
離婚問題 養育費・財産分与・慰謝料等を求める訴訟資料の作成 ×
離婚問題における交渉代理 ×
夫婦関係調停や離婚請求訴訟における訴訟代理 ×
離婚協議書の作成
遺言・相続分野 遺産分割協議書、遺産分割調停申立書の作成
遺言書の作成のための相談 ×
遺産分割審判や遺留分侵害請求調停の訴訟代理 ×
債務整理分野 自己破産・個人再生申立て
過払金回収
交通事故分野 自賠責保険金の請求
加害者に対する損害賠償請求権における代理

〇:可能 △:一部可能 ×:不可能

弁護士と司法書士の違いをおわかりいただけたでしょうか。

ここからは、違いを踏まえたうえで、弁護士と司法書士、両者の業務内容を改めて解説します。

弁護士はすべての法律業務を扱う

弁護士は、以下の事務を職務とします(弁護士法3条1項、2項)。

  • 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うこと(1項)
  • 弁理士及び税理士の事務(1項)

弁護士は「司法書士と認定司法書士の違い」で記載した司法書士の業務を「一般の法律事務」として行うことができます。

また、行政書士、社会保険労務士等の他の士業の業務も行うことができます。

弁護士の具体的業務内容として、民事事件では認定司法書士に限定された裁判所や手続、価額にかかわらず、訴訟代理人となることができます。

法律事務全般について、相談、交渉業務も行うことができます。

刑事事件では、被告人の弁護人となることができます。また、被疑者や被告人との立会人なくして接見又は書類や物の授受をすることができます(刑事訴訟法39条1項)。

このように弁護士はすべての法律業務を扱うことができます。

司法書士は法律に定められた範囲を扱う

司法書士の業務は、上記1.1「司法書士と認定司法書士の違い」で記載した通り、裁判所や手続き、価額に制限があります。

司法書士の具体的業務内容の中心は登記又は供託に関する手続です。

登記又は供託に関する手続は、弁護士も行うことができます。しかし、登記は、様々であり、各法務局によって運用が異なることもあります。

したがって、弁護士が取扱う事件において登記が必要となった場合、司法書士に依頼することがほとんどです。

刑事事件については、司法書士は行うことができません。

民事事件について、認定司法書士が行うことが代理業務の内、最も広く取り扱われているのが過払金返還請求(不当利得返還請求)です。

債務整理については、破産手続きの申立て書類の作成や相談はできますが、申立代理人にはなれません。

したがって、破産審尋期日等の出頭は、本人がすることになります。

司法書士の行う過払金返還訴訟について

司法書士が代理できる管轄裁判所は簡易裁判所に限定されます。

したがって、

  • 相手方が控訴した場合
  • 相手方が上告した場合
  • 判決内容が不服で控訴したい場合

など、認定司法書士には地方裁判所等における訴訟代理権がないため、本人が訴訟に出廷するか、弁護士を訴訟代理人とする必要があります。

次に、司法書士が行う過払金返還訴訟は140万円までに限定されます。

この価額は、過払金として特定の相手方(金融会社)に返還を請求する金額です。

すなわち、A社とB社の2社から借入れをし、それぞれ過払金が発生している場合、A社100万円、B社100万円でも認定司法書士は訴訟代理権があります(最高裁判所第一小法廷平成28年6月27日判決/平成26年(受)第1813号)。

価額が141万円となってしまうと、司法書士は扱うことができません。

訴訟代理人はおろか、任意交渉もできません。

まとめ

  • 弁護士は法律事務全般を取扱うことができる
  • 司法書士は私人間における紛争事件を取扱うことができるが制限がある

この記事では弁護士と司法書士の違いを解説しました。

弁護士は民事・家事等、私人間における紛争事件、刑事事件を取扱うことができますが、司法書士には制限があります。

一方で、登記・供託に関しては、司法書士の方が扱いに慣れているといえるでしょう。

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