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2021.02.24
予防法務とは将来の紛争を予防する法務のこと
健康な身体を維持するためには、食事や運動、睡眠など様々な要素が必要です。
誘惑の多い現代では、健康に良い習慣を維持するのは簡単ではありません。
しかし病気になってから治療するよりも、そもそも病気にならない方が健康面や費用面など結果として大きな影響を受けなくてすむでしょう。
こうした健康に関しては当たり前に行っていることを、法律面でも適用しようというのが「予防法務」の考え方です。
裁判や紛争などの問題が大きくなってから対応する前に、リスクを予見しそもそも問題が起こらないようにしておいたほうが当事者の負荷が小さい可能性が高いです。
この記事では、そうした「予防法務」について解説を行っています。
最後まで読んでいただくと、「予防法務」の考え方や重要と言われている背景が理解出来るようになっています。
INDEX
企業法務の業務内容を大別すると、
の3つがあります。
予防法務はその中の1つで、将来の紛争を予防(被害を最小限に抑える)するための業務のことです。
臨床法務は生じた紛争の対応業務です。
戦略法務は事業計画に伴う法的リスクを回避するための業務です。
予防法務は現在顕在化している紛争や法的リスクを対象とした法務ではなく、将来における紛争や法的リスクに対応するための法務という点が臨床法務・戦略法務と異なります。
予防法務の重要性が増している要因は、紛争が生じた後の対応には時間と費用が掛かることにあります。
インフルエンザに掛かると1週間ほど普段とは異なる生活を送ることになります。
しかし、数十分・数千円を掛けて予防接種をしておけばインフルエンザになるリスクを軽減することが出来ます。
企業の紛争でも同じことが言えます。
法的な紛争が生じて訴訟事件になった場合、解決には数年を要する可能性があり、賠償金の負担など損害・損失が多額に膨らむ可能性があります。
しかし、契約の条項に免責規定や賠償額の予定を定めておけば早期紛争解決に至ることができ、損害・損失を最小限に抑えることが可能です。
予防法務の具体的な内容には、
等があります。以下、順に解説していきます。
契約に関連する法務です。主には契約書や契約内容の確認・作成ですが、取引相手との契約交渉なども含まれます。
労務に関連する法務です。主には就業規則や賃金規定の確認・作成ですが、ハラスメントや残業代未払いといった紛争の防止策なども含まれます。
知的財産(特許権、意匠権、著作権、商標権など)に関連する法務です。
主には企業の技術やデザイン等に知的財産権の確保ですが、自社の製品やサービスが他人の知的財産権を侵害していないかという確認なども含まれます。
企業として法令違反を防止するための法務です。
企業の業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)の構築と運用により法令違反を防止すると共に早期発見により損失を最小限にとどめます。
現代社会は高度経済成長期のような右肩上がりの経済発展期ではありません。
企業の利益を確保し継続的な企業活動を続けるには未然に紛争を防止し企業の損失を最小限に抑えることが重要です。
今後ますます予防法務は重要視されていくでしょう。
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