業界トピックス2020.11.20
財務とは企業の資金繰りや予算を管理する職種

財務と聞くと、何となく会社のお金周りの業務を担っているイメージがあります。

財務と経理の違いは何かと問われれば答えに困る方も多いのではないでしょうか。

この記事では財務とは何か、財務と経理の違い、財務にはどのような人材が歓迎されるかを解説します。

財務とは企業の資金繰りや予算を管理する職種

財務は企業の

  • 資金繰り
  • 資金調達
  • 予算管理

を担当する職種です。

企業が投資やM&Aを行う場合、財務計画は必要不可欠です。財務計画なしでは、投資やM&Aの対価をめぐる交渉ができないからです。

したがって、財務には経済的な観点から企業価値を分析し、企業経営者に経済的なアドバイスをすることが求められます。

資金繰り

資金とは事業の元手や経営のために使用される財産のことです。

資金の具体例として、

  • 現金
  • 普通預金
  • コマーシャル・ペーパー(CP)
  • 公社債投資信託

など、会社としてすぐに支払利用できるものが挙げられます。

資金と誤解されやすいのが資本で、資本とは資産から負債を差し引いたものを指します。

会社としてすぐに利用できる資金とは異なり、不動産や定期預金などの財産も含まれます。

資金繰りとは、会社の収入と支出を管理して収支の過不足を調整することです。

資金繰りを行うことで、予定される支払いと売上代金の回収のタイミングを見計らい、実際のキャッシュの動きを確実に把握することができます。

資金は会社にとっての血液や空気に例えられます。

血液の流れが止まってしまうと生命維持が困難となるのと同様に、資金の流れ(が止まってしまうと会社は生きることができずに、倒産することになります。

したがって、資金繰りは会社を維持・発展させる上でとても重要な役割です。

資金繰りをめぐる判断は会社の構成員や会社財産に大きな影響をもたらすため、慎重に行う必要があります。

資金調達

資金調達とは事業に必要な資金を調達することです。

資金調達はその手段と理由から、目的に沿った方法がとられます。

資金調達の類型

企業の資金調達の代表的な類型として、

  • 資産を資金に代えるアセット・ファイナンス
  • 負債によって資金を調達するデッド・ファイナンス
  • 資本によって資金を調達するエクイティ・ファイナンス

があります。

各々の具体的な資金調達方法は、以下の通りです。

資金調達の代表的な類型 具体的な資金調達の内容
アセット・ファイナンス 遊休資産・売掛債権の売却、売掛債権の回収、不動産のリースバック
デッド・ファイナンス 公的融資、メガバンクからの融資、手形割引、不動産担保ローン
エクイティ・ファイナンス 第三者割当増資、IPO(株式公開・上場)、ベンチャーキャピタル、新株予約権の発行、事業譲渡・M&A

資金調達の理由

次に、資金調達の代表的な理由として、

  • 運転資金の補充
  • 新たな事業を興すため(設備投資)
  • 金融機関との関係性づくり

が考えられます。

企業が発展するためには適切な資金調達を選択することが求められます。したがって、財務には資金調達にあたって知識と経験が求められているといえます。

予算管理

予算管理とは策定した予算との乖離がないように実績を管理する、経営管理の手法のことです。

予算管理では、売上や必要経費などの予算計画を立て、実績を把握・分析し、この分析を踏まえて、今後の戦略や活動の軌道修正をする一連の活動を行います。

予算管理は企業が突然支払停止等になる事態を防ぐことが目的です。

予算管理により、会社は計画的な成長戦略を立てることが可能となります。

財務と経理の違い

財務 経理
資金運用、資金調達、予算管理 日々の売上管理、仕入れ管理、給与・保険の管理・計算、税金の計算、決算書作成

上の表は財務と経理の業務内容です。

会社の資金運用をめぐる業務分野には財務と経理がありますが、その業務内容は全く異なります。

財務は会社の未来のために経済的な観点から、資金繰り、資金調達、予算管理を行います。

経理は会計の一部であり、企業から出ていくお金(経費)や儲かったお金(利益)の算出を担当します。

財務に必要なスキルや経験

では、財務に必要なスキルや経験はどのようなものなのでしょうか。

ここからは財務に必要なスキルや経験として。

  • お金にまつわる知識
  • PCスキル

の2つを紹介します。

お金にまつわる知識

財務が担当する業務は企業の経営に直接影響します。そのため、会計や経営に関する専門的な知識が欠かせません

財務には人事・労務・営業・販売など、お金が絡む部門の基本的な知識を要します。

そのため、中小企業では、経営者が財務を担当している場合もあります。

さらに財務は投資やM&Aに関与するため、会社法関係の法律に関する知識も要求されます。

大企業では、公認会計士などの有資格者が企業の財務を担っている場合もあります。

会社の未来のお金に関わる仕事である以上、経営者とコミュニケーションをとる必要もあります。

PCスキル

財務の仕事はお金を管理するものである以上、簿記に関する知識が不可欠となります。

企業の簿記において、基本的なPCスキルはもはや必須と言えます。

財務には特別なPCスキルではなく、基本的なPCスキルが求められます

以上より、経理・税務・会計業務経験者はもちろんのこと、公認会計士や税理士の資格保有者が財務をまかされる傾向にあります。

財務に関連する資格

財務に関連する資格として、

  • FP技能士
  • AFP・CFP
  • 公認会計士
  • 税理士

などがあります。

ここでは特に関連性の高い公認会計士税理士を詳しく紹介したいと思います。

公認会計士にせよ税理士にせよ会計原則と呼ばれる財務上の知識が要求されるため、代表的な会計原則の1つであるUS-GAAPやUSCPAについても紹介します。

その他の資格については以下の表をご参考ください。

資格 内容
FP技能士 ファイナンシャルプランナーの国家資格であり、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などのサポートする。
AFP・CFP ファイナンシャルプランナーの民間資格であり、難易度はFP技能士より低め。業務内容はFP技能士と同じで家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などをサポートする。
公認会計士 金融庁の公認会計士・監査審査会により実施される公認会計士試験に合格することで得られる資格。企業の監査と会計を専門分野とする国家資格を持つ職種で監査業務を主に担当する。
税理士 税理士試験のほか弁護士となるための司法試験に合格すること、或いは公認会計士となるための公認会計士試験に合格することにより得られる資格であり、税務業務を主に担当する。

公認会計士

公認会計士は主に独占業務である「監査」を行います。

公認会計士のメイン業務である監査とは、企業の経営活動とその結果について正確性と妥当性を判断し、報告することです。

公認会計士が決算書の内容が正しいのか正しくないのかについて意見することも監査の業務内容の1つです。

公認会計士の監査業務は、

  • 法定監査:法令等の規定によって義務付けられているもの
    • 金融商品取引法に基づく監査
    • 会社法に基づく監査
    • 独立行政法人の監査 など
  • その他の監査
    • 法定監査以外の会社等の財務諸表の監査
    • 特別目的の財務諸表の監査

に分けられます。

監査の目的は会社の信頼性を確保することにあります。

会社のお金の管理を対外的に示す決算書の内容が正しくなければ金融機関や他の企業は当該企業と取引をすることができず、結果として企業の成長を害すどころか、その企業に倒産の危機を生じかねません。

したがって、公認会計士に適正な資料を提出し、監査してもらうことで世の中の企業は信頼を確保しています。

企業のグローバル化に伴う国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準(USGAAP)の導入、上場企業に対する内部統制監査の義務化など、公認会計士としてさらなる業務の広がりを見せています。

企業の健全な発展のためにも,会計のプロである公認会計士の社会的ニーズは高いといえます。

税理士

税理士は、主に独占業務である企業や個人事業主の税務処理や納税・節税に関するアドバイスなどの税務を行います。

税理士の独占業務である税務は税理士法の規定により

  • 税務代理
    • 税務署等への申告・申請
    • 税務調査の立ち会い
    • 税務調査の対応
  • 税務書類の作成:税務署に提出する届出書の作成・提出
  • 税務相談:税金の計算や必要な手続きに関する税務の相談

に分けられています。

US-GAAP

US-GAAPとは、米国で一般に公正妥当と認められた会計原則(Generally Accepted Accounting Principles)の略称で、アメリカ合衆国の財務会計に使用される規則・米国会計基準のことを指します。

会計基準とは、財務諸表(損益計算書や貸借対照表)を作成する際のルールのことです。

日本の上場企業は、

  • 日本会計基準(JGAAP)
  • 国際会計基準(IFRS)
  • 米国会計基準(USGAAP)

から会計基準を選択し財務諸表を作成しています。

日本の会計基準(JGAAP)は損益計算書を重視する収益費用アプローチ( a revenue-expense approach)であるのに対して、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(USGAAP)は貸借対照表(BS)を重視する資産負債アプローチ( an asset – liability approach)です。

会計基準の類型 アプローチ方法
日本会計基準(JGAAP) 収益費用アプローチ(損益計算書上の一会計期間の収益と費用を差し引いた残りの利益、過去の業績を重要視)
国際会計基準(IFRS)・米国会計基準(USGAAP) 資産負債アプローチ(貸借対照表上の資産負債の含み損益を反映させた企業の経済的実態を把握することを重要視)

国際競争力の向上が喫緊の課題である日本では、国際会計基準(IFRS)、米国会計基準(GAAP、USGAAP)に基づく財務会計の導入が推進されています。

そのため、財務アドバイザリーファームや監査法人、米国進出している大手製造業の経理部門などでも、US-GAPPに基づく実務経験を有する人材が重宝される傾向にあります。

財務を目指している方はUS-GAAPに基づく会計基準を学ぶことも近道の1つと言えるでしょう。

USCPA

USCPA(U.S. Certified Public Accountant、米国公認会計士)とは、米国各州が認定する公認会計士資格です。

USCPAの最大の特徴は、受験資格に国籍要件が課されない点にあります。

すなわち、USCPAは米国のみならず様々な国籍の方が受験する試験です。

アジア圏では日本をはじめ韓国、香港、シンガポール、フィリピン、インドなど多くの国の受験生がチャレンジしています。

その意味で米国公認会計士は今や世界的に認知された公認会計士資格であると言っても過言ではありません。

まとめ

  • 財務は会社の未来のお金を管理する仕事である
  • 財務と経理は業務内容が大きく異なる(経理は会計の一部で経費や利益の算出を担当)
  • 財務は会社法の知識や経営学の基礎的な知識が要求される
  • 財務には公認会計士や税理士など会計原則の知識に富んだ人材が歓迎される

今回は財務とは何かを解説しました。

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